週末のふたつのスタジアム
「あの選手のプレーが観たい」「このチームが勝つところを観たい」「どんな試合になるのか面白そう」「ゴール裏でみんなで一緒に応援したい」それぞれ思いは違えども、「サッカーを楽しむため」に4万の老若男女が週末にスタジアムに向かう。サッカーが好きなら、その事実だけで少し幸せな気持ちになるだろう。
翌4月20日、神奈川・相模原ギオンスタジアム。試合開始2時間半前のスタジアム周辺はまだ人もまばらで、熱心なサポーターがゲート近くで談笑している程度。アウェーのサポーターとホームのサポーターが互いのチーム状況を話し合っていたりと、どこか牧歌的な雰囲気が漂う。試合時間が近づいてきても、その空気は変わらない。屋台の焼きそばに並ぶ家族連れ、その横では4、5人の小学生のグループがサッカーボールを蹴り合っている。パスの練習をする父子の後ろで、若いカップルがピザを頬張る。この日の観客は約3,200人。スタンドにもまだ余裕がある。
見方によってはそれは対照的な2日間だが、帰りの電車に揺られながら抱いた充実感は、どちらも少しも変わらないものだった。
PHOTOGRAPHY:OKUYAMA YOSHIYUKI
TEXT:SUGAWARA GO
「SWITCH」Vol.32 No.6(フットボール・ピープルたちのコミュニケーション術)
- Posted on 2014/05/20