10 days 行商日記 in New York #day9
今年6月、安西水丸さんのシルクスクリーン作品をまとめた『ON THE TABLE』が出版社Baciから刊行された。
Baci代表の内田有佳さんは新刊を胸にNYへと旅立った。
届きたてほやほやのNYでの行商風景をお届けします
#9日目
納品。そして、週刊NY生活編集部へ。
書店営業、最終日。まずはDashwoodに納品に行った。対応してくれたのは女性スタッフのシャーロット。簡単な契約書を交わす。シャーロットは、昨日のデイビットと同じように隅々まで丁寧に本を見てくれた。
“この青、いいわね!”と言ってくれた笑顔にほっとする。
テキパキと働くシャーロット。さっそく納品分を店頭に並べるように準備してくれた。シャーロットの指示のもと作業してくれたのは、日本人スタッフの青年。名前は聞きそびれてしまった……。すごくシャイで、あまり話せなかったのが残念。
持ってきた21冊は、4冊が書店へのサンプル、14冊が納品、1冊がお世話になった先輩編集Mさんへ、残り1冊はNY在住カメラマンGさんが個人的に購入してくれて、ほぼなくなった。
Dashwoodで見かけたニューヨークアートブックフェアのチラシ。9月中旬からスタートするそうだ。そういえばデザイナーのウィルも参加すると言っていた。次はタイミングを合わせて来てみたい。
続いて、RIZZOLIのブックストアへ。担当のMeganさんが出てきてくれる。昨日メールで、日本から持ってきた20冊がなくなってしまったこと、帰国後すぐに日本から発送することを伝えていたので、お礼だけを言いに伺った。
写真を撮らせて!とお願いすると、この通り。RIZZOLI の新店舗には、店奥にトークショーなどができるロビーのようなスペースがある。ニューヨーク滞在中、以前の店を惜しむ声も聞いたけれど、新しいスペースも光が溢れるいい空間。ここに本が並ぶなんて……改めてミーガンさんに感謝を伝えて店を出た。
最後に訪れたのは、タイムズスクエアの近くにある週刊NY生活編集部。ニューヨークに出発する前、安西さんの奥さまの岸田さんから、編集長の三浦さんをご紹介いただいたのだ。安西さんは2006年から8年間、週刊NY生活で連載「東京便り」を続けていた。
編集長の三浦さんから、連載当時にやりとりをしていたFAXや、安西さんと初めてお会いした時にもらったというサインを見せてもらう。
三浦さんは高校3年生の冬に『ガロ』に掲載された『青の時代』を読み、それ以来、安西さんのファンだったという。それから時が経ち、30年前にNYを訪れた安西さんと会う機会があり、連載に繋がったそうだ。
残った1冊の『ON THE TABLE』を三浦さんにも見てもらった。週刊NY生活でも紹介してくださるという。取材を受け、私もこの連載のために何枚か写真を撮らせていただいた。
最後に安西さんを知る三浦さんにお会いして、ニューヨークでの書店営業について話ができたのは本当によかった。なにか、三浦さんを通して、安西さんにその報告ができたような気がした。
安西さんが好きだったエンパイアステートビルも今日が見納め。最後の夜はウィルがブルックリンの夜景を案内してくれた。
明日は朝一でニューアーク国際空港だ。
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《 INTERVIEW 》
-- 安西水丸『ON THE TABLE』ができるまで --
Baci 内田有佳さん
インタビューはこちら
《プロフィール》
内田有佳 うちだ・ゆか
1982年生まれ。編集者。Baci代表。 大阪芸術大学映像学部を卒業後、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのエディターとして活動する。2016年、出版レーベルBaci(バーチ)を立ち上げる。
http://bacibooks.com/
安西水丸
『ON THE TABLE』
2014年に急逝したイラストレーターの安西水丸。アトリエに残された作品を整理するなかで見つかった個展のためだけに制作された、シルクスクリーンの作品をまとめた一冊が完成。
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《関連イベント》
『ON THE TABLE』刊行記念トークイベント
<出演>
前田晃伸(デザイナー・アートディレクター)
山﨑杉夫(イラストレーター)
内田有佳(編集者・Baci代表)
ゲストは『ON THE TABLE』のデザイナーを務めた前田晃伸さんと、安西水丸塾で学んだイラストレーターの山﨑杉夫さん。この美しい一冊ができるまでのストーリーや、安西さんの作品についてじっくりと語っていただきます。
<日程>
2016年9月23日(金)18:30 OPEN/19:00 START
<会場>
Rainy Day Bookstore & Cafe
東京都港区西麻布2-21-28 スイッチ・パブリッシングB1F
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