心を捨て 見えてくるもの 聴こえてくるもの
写真家・藤原新也の新たなる挑戦。四国を巡る旅のさなか、見えてきた光景―。それを、どのような形で人々に伝えるのか?余計な言葉をそぎ落とし、極限まで「個人」をもそぎ落とした末に、写真家が選んだのは、「書」だった。心を捨てて見えてくるもの聴こえてくるもの。年齢を重ねることによって可能となる新境地ここに
2010年7月14日発売
目次
○ 幾世の春
○ 花間蝶
○ 命の傘
○ 死ぬな生きろ
○ 花簪
○ 心を捨てる
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四国八十八ヶ所はこの三十年間にいくたびか回遊している。そのつど世界のものの見方が変化した。そして旅もここに来て進化形のひとつの極に至りつつある。どれだけ余計なものをそぎ落とした言葉によって世界を伝えることが出来るか。それは時にわたし個人すらそぎ落とした“単語”に至る。その時、消去された“わたし”を再復元させるものとしておのずと『書』が必要とされた。そこにはギリギリのわたしがいる。この本には誰の邪魔にもならなかギリギリのわたしがただ呼吸をしている。__藤原新也