荒木経惟にとっての二〇〇四年を問うと、「空」と答えた。
「何故か悲しかった。この年だけは飛行機雲は空を切り裂くように私には見えてきた」
荒木経惟の言葉の先には歌人宮田美乃里がいた。
「片乳房しかない 私の裸体を撮ってはいただけないでしょうか」
荒木経惟は圧倒的な存在に感動し記憶していく。定着させたのは花と人生。
享年三四歳二〇〇五年三月ニ八日に亡くなった歌人の若すぎる死を追悼するための荒木経惟の写真集。
「『空事』は、桜の季節には何故か悲しい」
B5変型・160ページ