「その波が私を捉えようとしたのは、私が十歳の年の、九月の午後のことでした」。“七番目の男”が語り始めたのは、自身が体験した海辺の小さな町を襲った台風の日の出来事。大波によって目の前で親友のKを失った彼は、長い歳月トラウマに苛まれ続ける。40年以上を経たある日、彼は親友の描いた一束の絵と再会することに――。
【著者プロフィール】
原作:村上春樹 Murakami Haruki
1949年京都生まれ。作家、翻訳家。『騎士団長殺し』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』『女のいない男たち』『1Q84』など小説を多数発表。他に『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』『職業としての小説家』柴田元幸との対談集『本当の翻訳の話をしよう』など。最近の訳書にドナルド・L・マギン『スタン・ゲッツ―音楽を生きる―』スコット・フィッツジェラルド『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』がある。
翻案:Jc ドゥヴニ Jc Deveney
1977年南フランス・イエール生まれ。歴史や文学を学んだ後、リヨンで活動。脚本家として様々な出版社や幅広い世代の作家とコラボレーションを行なう。また、作家活動の支援をするグループ「Emanata」やリヨン・バンドデシネ・フェスティバルと共に展示の企画も手がける。漫画、イラストレーション、アニメーションの学校で翻案や演劇学を教えている。
漫画:PMGL Pierre-Marie Grille-Liou
1980年フランス・リヨンのそばで生まれ、88年からバンドデシネを描きはじめる。98年にファンタジーとSF漫画の雑誌『Chasseur de Rêves』でデビュー。以降様々なアンソロジー集に短編漫画を掲載している。また60-70年代のレコード・ディガー、クラブDJとしても活動中。